【2025エリザベート王妃国際音楽コンクール】日本人4名を含む12名のファイナリストが決定

速報:日本から史上最多の4名がファイナル進出

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ベルギーの首都ブリュッセルで開催されている2025年エリザベート王妃国際音楽コンクールのピアノ部門で、セミファイナルを勝ち抜いた12名のファイナリストが発表されました。現地時間5月17日(日本時間5月18日朝)に発表されたファイナリストには、日本から亀井聖矢さん、桑原志織さん、久末航さん、吉見友貴さんの4名が選出されました。エリザベート王妃国際音楽コンクールの歴史において、日本人が4名もファイナルに進出するのは異例の快挙です。

世界最難関のコンクールとその特徴

エリザベート王妃国際音楽コンクールは1937年に始まり、ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、声楽の各部門が4年周期で開催される世界最高峰の音楽コンクールの一つです。特にファイナル直前に与えられる新作の習得と演奏という独特の課題があることから「世界一過酷なコンクール」とも呼ばれています。

ファイナリストには約1週間のインターバルがあり、その間に外界と遮断されたエリザベート王妃音楽礼拝堂で、Kris Defoortによる未発表のピアノと管弦楽のための作品(10~15分)の楽譜を渡され、新作と向き合うという独特の過程があります。

ファイナリスト12名のプロフィール(姓のアルファベット順)

日本人ファイナリスト

1. 久末航(Wataru Hisasue)

  • 国籍: 日本
  • 生年: 1994年
  • 出身: 滋賀県大津市
  • 経歴: 5歳よりピアノを始め、14歳で京都青山音楽記念館バロックザールにてリサイタルを開催。2017年ミュンヘン国際音楽コンクールで第3位および委嘱作品特別賞を受賞。第7回リヨン国際ピアノコンクール第1位及び聴衆賞獲得。
  • ファイナルでの選曲: ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op. 83
  • 演奏日: 5月31日(土)20:15(日本時間6月1日 3:15)

2. 亀井聖矢(Masaya Kamei)

  • 国籍: 日本
  • 生年: 2001年12月20日
  • 出身: 愛知県
  • 経歴: 4歳よりピアノを始め、2022年ロン=ティボー国際音楽コンクールにて第1位および「聴衆賞」「評論家賞」を受賞。第88回日本音楽コンクール第1位、第43回ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリなど国内外で数々の賞を獲得。桐朋学園大学を首席で卒業後、カールスルーエ音楽大学に入学。
  • ファイナルでの選曲: サン=サーンス:ピアノ協奏曲第5番 ヘ長調 op. 103
  • 演奏日: 5月31日(土)20:15(日本時間6月1日 3:15)

3. 桑原志織(Shiori Kuwahara)

  • 国籍: 日本
  • 生年: 1995年
  • 出身: 東京都
  • 経歴: 4歳よりピアノを始め、2018年東京藝術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻を首席で卒業。2014年第83回日本音楽コンクール第2位および岩谷賞(聴衆賞)受賞。その後ベルリン芸術大学に留学し、国際的に活躍。2016年第62回マリア・カナルス・バルセロナ国際音楽コンクール第2位など国際コンクールでも上位入賞を果たしている。
  • ファイナルでの選曲: ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op. 83
  • 演奏日: 5月30日(金)20:15(日本時間5月31日 3:15)

4. 吉見友貴(Yuki Yoshimi)

  • 国籍: 日本
  • 生年: 2000年5月7日
  • 出身: 東京都
  • 経歴: 5歳よりピアノを始め、高校2年在学中に第86回日本音楽コンクールで最年少優勝を果たす。桐朋学園ソリスト・ディプロマコースを経て、ニューイングランド音楽院に留学。2021年のエリザベート王妃国際音楽コンクールでもセミファイナリストとなっており、今回は見事ファイナル進出を果たした。
  • ファイナルでの選曲: プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 op. 26
  • 演奏日: 5月26日(月)20:15(日本時間5月27日 3:15)

海外のファイナリスト

5. レイチェル・ブリーン(Rachel Breen)

  • 国籍: アメリカ
  • 生年: 1996年
  • ファイナルでの選曲: ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 op. 30
  • 演奏日: 5月27日(火)20:15(日本時間5月28日 3:15)

6. ヴァレール・ビュルノン(Valère Burnon)

  • 国籍: ベルギー
  • 生年: 1998年
  • ファイナルでの選曲: ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 op. 30
  • 演奏日: 5月27日(火)20:15(日本時間5月28日 3:15)
  • 特記事項: 地元ベルギー出身の選手として、発表時には会場から特に大きな歓声が上がった。

7. アルテュール・イネヴィンケル(Arthur Hinnewinkel)

  • 国籍: フランス
  • 生年: 2000年
  • ファイナルでの選曲: シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op. 54
  • 演奏日: 5月29日(木)20:15(日本時間5月30日 3:15)

8. ミラベル・カジェンジェリ(Mirabelle Kajenjeri)

  • 国籍: フランス
  • 生年: 1998年
  • ファイナルでの選曲: プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 op. 26
  • 演奏日: 5月30日(金)20:15(日本時間5月31日 3:15)

9. ニコラ・メーウセン(Nikola Meeuwsen)

  • 国籍: オランダ
  • 生年: 2002年
  • ファイナルでの選曲: プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ト短調 op.16
  • 演奏日: 5月28日(水)20:15(日本時間5月29日 3:15)

10. ナタリア・ミルシュタイン(Nathalia Milstein)

  • 国籍: フランス
  • 生年: 1995年
  • ファイナルでの選曲: ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 op. 83
  • 演奏日: 5月26日(月)20:15(日本時間5月27日 3:15)

11. ジアシン・ミン(Jiaxin Min)

  • 国籍: 中国
  • 生年: 1996年
  • ファイナルでの選曲: プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 op. 26
  • 演奏日: 5月29日(木)20:15(日本時間5月30日 3:15)

12. セルゲイ・タニン(Sergey Tanin)

  • 国籍: ロシア
  • 生年: 1995年
  • ファイナルでの選曲: プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 op. 26
  • 演奏日: 5月28日(水)20:15(日本時間5月29日 3:15)

ファイナルについて

ファイナルは5月26日(月)から31日(土)まで6日間にわたり、会場をパレ・デ・ボザールに移して行われます。各ファイナリストは、Kris Defoortによる未発表作品と自身で選んだ協奏曲を演奏します。オーケストラは大野和士指揮のブリュッセル・フィルが務めます。

ファイナルの日程

  • 5月26日(月)20:15(日本時間5月27日 3:15)
  • 吉見友貴:プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 op. 26
  • ナタリア・ミルシュタイン:ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 op. 83
  • 5月27日(火)20:15(日本時間5月28日 3:15)
  • レイチェル・ブリーン:ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 op. 30
  • ヴァレール・ビュルノン:ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 op. 30
  • 5月28日(水)20:15(日本時間5月29日 3:15)
  • ニコラ・メーウセン:プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ト短調 op.16
  • セルゲイ・タニン:プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 op. 26
  • 5月29日(木)20:15(日本時間5月30日 3:15)
  • アルテュール・イネヴィンケル:シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op. 54
  • ジアシン・ミン:プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 op. 26
  • 5月30日(金)20:15(日本時間5月31日 3:15)
  • 桑原志織:ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op. 83
  • ミラベル・カジェンジェリ:プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 op. 26
  • 5月31日(土)20:15(日本時間6月1日 3:15)
  • 亀井聖矢:サン=サーンス:ピアノ協奏曲第5番 ヘ長調 op. 103
  • 久末航:ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op. 83

コンクールの経過と日本人セミファイナリスト

今回のコンクールには日本人として6名が出場し、全員がセミファイナルに進出するという快挙を達成していました。セミファイナルでは亀井聖矢さん、桑原志織さん、久末航さん、吉見友貴さんの4名がファイナル進出を決め、太田糸音さんと中川優芽花さんは惜しくも選出されませんでした。

セミファイナルの様子

セミファイナルはリサイタルと協奏曲の2部構成で行われ、リサイタルでは各参加者が提出した2プログラムから審査員が当日指定した曲目を演奏しました。協奏曲ではヴァハン・マルディロシアン指揮のワロニー王立室内管弦楽団との共演でモーツァルトの協奏曲を演奏。日本人ピアニストたちの演奏は高い評価を受け、特に亀井聖矢さんはその技巧の高さと音楽性、桑原志織さんの深い音楽性と表現力、久末航さんの繊細な音色と構成力、吉見友貴さんの歌心あふれる演奏が印象的でした。

ファイナルの視聴方法

エリザベート王妃国際音楽コンクールの公式サイトやYouTubeチャンネルでライブストリーミングが行われます。日本からもリアルタイムで視聴可能です。

過去の日本人受賞者と今回の期待

エリザベート王妃国際音楽コンクールのピアノ部門では、過去に小山実稚恵さん(1989年第3位)、上原彩子さん(2007年第1位)などが入賞しています。今回は日本人4名がファイナルに進出するという快挙から、受賞への期待が高まっています。

今回のコンクールにはフランスからも3名のファイナリストが選出されており、日本とフランスで12名中7名を占めるという結果になりました。それぞれの個性と音楽性が光る6日間のファイナルが期待されます。


この記事は2025年5月18日現在の情報に基づいています。

関連動画:

参考資料:

2025年エリザベート王妃国際音楽コンクールのファイナル結果にご期待ください。次回の記事では各ファイナリストの演奏と結果について詳しくお伝えします。


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