2025年10月、世界が注目する第19回ショパン国際ピアノコンクールにおいて、本選(ファイナル)進出を果たした桑原志織。
精緻な構築力と深い音色で聴衆と審査員を魅了し、今もっとも注目すべき日本のピアニストの一人です。本稿では、確かな情報に基づいて略歴・受賞歴・近作CD・直近の公演予定を凝縮してご紹介します。
プロフィール
出身・学歴:1995年生まれ、東京出身。東京藝術大学を首席で卒業後、ベルリン芸術大学(UdK)に留学し、修士課程と国家演奏家資格課程(Konzertexamen)を最優秀で修了。近年はイタリアでの研鑽やコモ湖国際ピアノアカデミーでも学んでいます。師事は伊藤恵、クラウス・ヘルヴィヒほか。
近年のトピック:2025年エリザベート王妃国際音楽コンクール(ブリュッセル)で入賞(Laureate)。ファイナルでは大野和士指揮ブリュッセル・フィルとブラームスの協奏曲第2番を共演しました。
主な受賞歴
ルービンシュタイン国際ピアノマスターコンクール(2021):第2位(日本人史上最高位)
ブゾーニ国際(2019):第2位+ブゾーニ作品最優秀演奏賞
ヴィオッティ国際(2017):第2位
マリア・カナルス国際(2016):第2位
Steinway Berlin Prize(2022) 受賞
これらは国際主要コンクールでの安定した実績として広く公知の事実です。
ショパン国際ピアノコンクール2025での歩み
本選進出(ファイナリスト):10月16日に公式発表。最終ステージは10月18–20日(CEST)に開催されます。
ステージIII(10/14)演目:スケルツォ第3番 嬰ハ短調 op.39、マズルカ op.33(全4曲)、ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 op.58。公式カレンダーに明記。
本選での課題:ポロネーズ幻想曲 op.61と、ピアノ協奏曲第1番または第2番のいずれか(規定)。*最終的な演奏曲は当日の主催者発表に従ってください。
話題性:一次・二次のステージでは、豊かな音量と深い陰影をたたえた音色が国内外で高評価。日本の専門メディアのレポートでも「万雷の拍手」など熱量の高い反響が記録されています。
作品理解とスタイル
ブラームスやリストで見せる大スケールの造形、ショパンでの繊細なニュアンスと推進力の共存が魅力。エリザベートでの本選経験(大野和士指揮)を経て、オーケストラとの対話感や舞台での集中力を一段と高めたことを本人も語っています。
ディスコグラフィー(商業リリース)
- 『桑原志織 ピアノ・リサイタル〈ライヴ〉—ブラームス/シューベルト/リスト』
レーベル:カメラータ・トウキョウ(CDT-1123)/2025年3月10日発売。
収録:ブラームスピアノ・ソナタ第1番、シューベルト即興曲 D899-3、リストバラード第2番、巡礼の年第2年より「ペトラルカのソネット123番」「ダンテを読んで」、コンソレーション第3番(2024年9月・杉並公会堂ライヴ)。各専門媒体で推薦盤の評価。

- 『Queen Elisabeth Competition: Piano 2025(4枚組)』
公式ボックスに桑原志織の演奏が収録(ダイジェスト)。各配信でも展開。

これからの公演情報(確定分)
ショパン国際ピアノコンクール・本選
日程:2025年10月18–20日(ワルシャワ・フィルハーモニー ホール、各日18:00開始/CEST)
※主催者の公式配信・放送あり。最新のタイムテーブルは公式カレンダーを参照してください。
ウィリアム・ショート(ファゴット) リサイタル[共演:ピアノ 桑原志織]
2026年3月7日(土)14:00 宗次ホール(名古屋)
*公演詳細・チケット情報は会場公式にて。
※このほかの国内外公演は、公式サイトのスケジュールで順次更新されています。最新情報は公式サイト/公式Xを確認してください。
まとめ
国際主要コンクールで積み上げた実績と、旬の「現場感」を携えてショパン・コンクール本選に臨む桑原志織。新譜CDではライヴの熱量と緻密さが併走し、コンサートではスケールの大きさと細部の詩情が共存します。いま聴いておくべきピアニストとして、今後の歩みも要注目です。
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