18日(現地時間)に始まった第19回ショパン国際ピアノコンクール・ファイナル初日で、エリック・ルー(米)が選んだショパン《ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調》の冒頭で、オーケストラの入りが合わず“出だしの乱れ”が生じた。配信や現地で聴いたリスナーが相次いで指摘し、SNSでは「オケの冒頭が揃わなかった」「最初の数小節で噛み合っていなかった」といった投稿が広がった。公式配信の本編も公開済みで、当該ステージの全容を確認できる。
何が起きたのか
ルーはファイナル規定曲《ポロネーズ=ファンタジー》に続き、《ヘ短調協奏曲》を選択。指揮はアンドレイ・ボレイコ、管弦楽はワルシャワ・フィル。ポーランドの全国紙 Rzeczpospolita は初日の講評で、ルーの出色の出来を評価しつつも「この夜、彼には別の不運もあった。序奏のミスに続き、国立フィルの伴奏は彼を助けず、いくつか明白なミスがあった」と記した。
SNSでの反応(要旨)
- 「オーケストラのスタートがひどかった。途中も時折ズレた」(海外掲示板)/「二つのパートが別々のタイミングで始まったみたいだった」(同)という“冒頭の乱れ”指摘が拡散。
- 日本語圏でも「冒頭が揃わないのはやめて…」「途中にヒヤッとする場面」などの投稿が相次ぎ、配信の音響の可能性を示唆する声も。
- (言い方として)“声部が追いかけ合うようだった”と**フーガ(fugue)**を引き合いに出す皮肉も見られたが、これは誇張だとする反論もあった。
海外メディアはどう報じたか
- Rzeczpospolita(ポーランド):F短調協奏曲は「不運な選択」になりがちという文脈を交え、**伴奏側の“明白なミス”**に言及。一方で、ルーの音楽的達成を高く評価した。Rzeczpospolita
- Polskie Radio(ポーランド国営):ファイナル各日の進行や選曲を淡々と速報。協奏曲は“オーケストラとの協働力を示す”場だと解説する事前記事も配信。Polskie Radio online+1
- PAP(ポーランド通信):本番後のルーの談話として「ショパンの音楽は“全体”であり、私には感情の旅」とコメントを伝え、当日のプログラムと指揮陣を事実ベースで紹介。Strona główna
- European Newsroom:ファイナルの構成(《ポロネーズ=ファンタジー》+協奏曲)と、オーケストラとのアンサンブルが審査の見どころである点を事前解説。European Newsroom
文脈と影響
- ルーは2015年に同コンクールで入賞後、2018年リーズ国際優勝を経て満を持して再挑戦。第3次予選は体調不良で一時延期されるなど波瀾含みだったが、ファイナルではF短調を選択して勝負をかけた。
- 初日ステージでは、司会者が国籍を“カナダ”と誤って紹介するハプニングも。数分後に訂正と謝罪が行われた。
- 伴奏側の乱れが評価にどう影響するかは常に議論の的。今回は“配信の音響要因”を指摘する視聴者もいたが、現地聴取では別印象との証言もある。公開映像と併せ、審査側の総合判断に委ねられる。
現地の空気
現地音楽ブログや掲示板では、**「(乱れを除けば)ルーと李天佑(Tianyou Li)がこの日のベスト」とする声や、「F短調は難物で同期が難しい」**との所感が出ている。
まとめ
ファイナル初日の“冒頭の乱れ”は、ソリストの責ではなく伴奏側の不整だったという見立てがポーランドの有力紙やSNSで優勢だ。一方で、本選の本質は**「事故をも飲み込み、音楽の流れを立て直す総合力」**にある。ルーはその後を冷静に立て直し、音楽的説得力で押し切ったとの評価も根強い。最終結果の発表と、他日程の演奏評価を待ちたい。
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