シェーンベルクの楽譜10万点以上が焼失…LAの火災で「深刻な文化的打撃」

2025年1月15日、ロサンゼルスを襲った大規模な山火事により、20世紀を代表する作曲家アルノルト・シェーンベルクの膨大な楽譜が焼失するという、あまりにも悲しいニュースが飛び込んできました。

10万点以上の楽譜、書簡、写真… 歴史的資料が炎に

焼失したのは、シェーンベルクの息子ラリー・シェーンベルク氏が運営する出版会社「ベルモント・ミュージック・パブリッシャーズ」が保管していた資料です。

ベルモントには写真、手紙、本、ポスターなどに加え、父親の楽譜10万点以上が保管されていました。楽譜はデジタルバックアップがされていたが、原本は火災で焼失した。

今回の火災は、ロサンゼルス一帯を襲った大規模な山火事によるもので、ベルモント社の建物も完全に焼失。今回の事態に、ラリー氏は「全てを失った」と深い悲しみを語っています。

ラリー・シェーンベルク氏のFacebook

https://www.facebook.com/photo?fbid=10161159344231270&set=a.37856836269

ラリー氏による投稿の日本語訳(一部)

悲しい出来事として、アーノルド・シェーンベルクの作品の保存と普及に専念してきた名門出版社、ベルモント・ミュージック・パブリッシャーズが、最近のパシフィック・パリセーズ火災により悲劇的な被害を受けました。[……]1月初めにパシフィック・パリセーズ地域を襲った火災は甚大な被害をもたらし、不運にもベルモント・ミュージック・パブリッシャーズはその最も重大な被害者の一つとなりました。販売用および貸出用の在庫全て(原稿、オリジナルスコア、印刷物を含む)が炎により失われました。シェーンベルクの作品のみを扱う会社にとって、この損失は単なる物理的な財産の損失以上の、深刻な文化的打撃を意味します。

(引用:ラリー・シェーンベルク氏のFacebook)

文化的損失は計り知れず

シェーンベルクの作品は、ロマン派の様式を踏襲しつつ、十二音技法を確立したことで知られています。その革新的な音楽は、20世紀のクラシック音楽界に大きな影響を与えました。

今回焼失した資料は、シェーンベルクの音楽を研究する上で貴重なものであり、その文化的損失は計り知れません。
「これはただの物理的な損失ではなく、深い文化的打撃だ」と、ラリー氏は述べています。

唯一の救い:オリジナル楽譜は無事

壊滅的な被害の中で唯一救いとなったのは、火災でオリジナルの楽譜が失われなかったことです。楽譜のほとんどはシェーンベルクの生誕地であるウィーンの博物館に所蔵されています。

ベルモント社が保管していたのは、演奏会で使用する際に必要となる演奏用スコアでした。しかしこれらの楽譜は、世界中の音楽家が作曲家と直接繋がっているように感じられる、貴重なものでした。今回の焼失により、演奏家は今後、別の方法で楽譜を調達する必要が出てくるでしょう。

「灰の中から立ち上がる」

ベルモント社は、ウェブサイトで「近い将来、完全にデジタル化された形で『灰の中から立ち上がる』ことができるよう希望している」と述べています。

ラリー氏は、今回の苦境に対し、父シェーンベルクが困難に直面した際、不満を口にしながらも解決策を見出していたことを例に挙げ、「どんなことがあっても、我々は非常に前向きに捉えようとしている。涙を流す時ではない」と語りました。


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