来月開幕!2025年ヴァン・クライバーンピアノコンクールを徹底解説。日本人出場者についての情報も

コンクール概要

2025年5月21日から6月7日にかけて、アメリカ・テキサス州フォートワースで「第17回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール」が開催されます。このコンクールは1962年に創設され、4年に一度開催される世界最高峰のピアノコンクールの一つです。ニューヨーク・タイムズ紙からも「クラシック音楽界で最も権威あるコンテストの一つ」と評価されています。

コンクールの会場は、テキサス・クリスチャン大学(TCU)のヴァン・クライバーン・コンサートホールと、フォートワース市内のバス・パフォーマンス・ホールです。予選と準々決勝はTCUで、準決勝と決勝はバス・パフォーマンス・ホールで行われます。審査委員長は著名なピアニスト、ポール・ルイスが務めます。

このコンクールは、1958年にモスクワで開催されたチャイコフスキー国際コンクールでヴァン・クライバーンが優勝したことを記念して創設されました。クライバーンは冷戦時代、アメリカ人として初めてソ連のコンクールで優勝し、国際的な注目を集めました。

出場者情報

今回のコンクールには世界中から340人のピアニストが応募し、77人が予備審査(スクリーニング・オーディション)に進み、最終的に30人が本選に選ばれました。出場者は18歳から30歳までの若手ピアニストで、17カ国・地域から参加します。最も多い国は中国で7人、次いでアメリカとロシアが各4人となっています。

日本人出場者

2025年のコンクールには2名の日本人ピアニストが出場します。

重森光太郎(Kotaro Shigemori)

  • 年齢:25歳
  • プロフィール:6歳の時に母親からピアノを習い始め、その才能と情熱は急速に成長しました。2022年にロン=ティボー国際コンクールで第4位を獲得したほか、第6回石川国際ピアノコンクールでも第3位と聴衆賞を受賞しています。国際的なコンクールでの実績を持つ一流の才能と演奏家として認められています。

山崎亮太(Ryota Yamazaki)

  • 年齢:26歳
  • プロフィール:福島県出身で、7歳からピアノを学び始めました。トーマス&エヴォン・コー・アロイ国際ピアノコンクールで第1位を獲得するなど、数々の賞を受賞しています。2023年のブゾーニ国際ピアノコンクールでは第3位を獲得し、ボルツァーノ・ハイドン交響楽団、読売日本交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団などと共演してきました。15歳の時には日本音楽コンクールで最年少グランプリを獲得し、日本フィルハーモニー管弦楽団とプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を演奏しました。

コンクールの日程と課題曲

コンクールは以下の日程で行われます:

予選(Preliminary Round)

  • 日程:5月21日〜23日
  • 会場:ヴァン・クライバーン・コンサートホール(TCU)
  • 内容:30人の出場者がそれぞれ40分のリサイタルを行います
  • 課題曲:ガブリエラ・モンテロ作曲の委嘱作品を含む自由曲(ガブリエラ・モンテロは審査員も務めます)

準々決勝(Quarterfinal Round)

  • 日程:5月24日〜25日
  • 会場:ヴァン・クライバーン・コンサートホール(TCU)
  • 内容:18人の出場者がそれぞれ40分のリサイタルを行います

準決勝(Semifinal Round)

  • 日程:5月28日〜6月1日
  • 会場:バス・パフォーマンス・ホール
  • 内容:12人の出場者が2つのフェーズで演奏します
  1. 60分のリサイタル
  2. モーツァルトのピアノ協奏曲(指定されたリストから選択)をメキシコ人指揮者カルロス・ミゲル・プリエトとフォートワース交響楽団と共演

決勝(Final Round)

  • 日程:6月3日〜7日
  • 会場:バス・パフォーマンス・ホール
  • 内容:6人のファイナリストが2つのピアノ協奏曲をアメリカ人指揮者マリン・オルソップとフォートワース交響楽団と共演します(1つは指定されたリストから選択)

表彰式

  • 日程:6月7日
  • 会場:バス・パフォーマンス・ホール
  • 内容:金・銀・銅メダリストの発表と授賞式

審査員

2025年のコンクールの審査委員長はピアニストのポール・ルイスが務めます。審査員には、リコ・グルダ(オーストリア)、ガブリエラ・モンテロ(ベネズエラ/アメリカ)、ジョン・中松(アメリカ)、リーズ・ド・ラ・サル(フランス)、イェフゲニー・スドビン(イギリス)など、世界的に著名なピアニストが名を連ねています。なお、ガブリエラ・モンテロは予選で演奏される委嘱作品の作曲も担当しています。

賞金・特典

コンクールの賞金総額は265,000ドルで、内訳は以下の通りです:

  • 金メダリスト:100,000ドル
  • 銀メダリスト:50,000ドル
  • 銅メダリスト:25,000ドル

また、メダリストには3年間にわたるキャリアマネジメントが提供され、コンサートの予約、芸術的サポート、広報活動などが行われます。クライバーン財団によると、提供される全体のパッケージ価値は約200万ドルと推定されています。

前回の優勝者

2022年の第16回コンクールでは、韓国のイム・ユンチャンが18歳で金メダルを獲得し、コンクール史上最年少の優勝者となりました。彼は優勝後わずか3シーズンで、ニューヨーク・フィル、ロサンゼルス・フィル、東京フィル、パリ管弦楽団など世界中の名門オーケストラと共演し、カーネギーホール、ケネディーセンター、ウィグモアホール、コンセルトヘボウなどの一流会場でリサイタルを行っています。彼の演奏動画は、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番、リストの「超絶技巧練習曲集」、モーツァルトのピアノ協奏曲第22番など、クラシックピアノの人気作品の中で最も視聴されています。

チケット情報

コンクールの個別チケットは10ドルから225ドルの範囲で販売されています。コンクールの全ての演奏は、国際的なオーディエンスにライブ配信されます。

公式情報

公式ウェブサイト:https://cliburn.org/competitions/2025-cliburn-competition


ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールは、若手ピアニストのキャリアを大きく飛躍させる登竜門として知られています。日本からは重森光太郎さんと山崎亮太さんという二人の実力派ピアニストが出場し、その活躍が期待されます。2022年のコンクールでは18歳の韓国人ピアニスト、イム・ユンチャンが優勝して世界的なスターダムに躍り出たように、今回のコンクールからも新たなピアノ界のスターが誕生するかもしれません。5月21日からの熱演にご期待ください。


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