プラハの春国際音楽コンクール2025のファイナリストへ
チェロ奏者の水野優也さんが、2025年5月に開催されたプラハの春国際音楽コンクールのチェロ部門でファイナルに進出しました。水野さんは日本代表として、オーストリアのアレクサンドラ・カラー氏とドイツのティル・シューラー氏と共に、5月14日(水)18時よりルドルフィヌム・ドヴォルザークホールで行われる最終審査に臨みます。
最終審査では、バッハの「チェロ組曲第4番変ホ長調 BWV 1010」から選ばれた楽曲と、ドヴォルザークの「チェロ協奏曲ロ短調 Op.104」を演奏。伴奏はプラハ交響楽団が担当し、指揮者はマレク・プラシル氏です。このファイナルの模様はプラハの春のYouTubeチャンネルでライブ配信され、世界中のクラシック音楽ファンが注目しています。
水野優也さんのプロフィール
水野優也さんは1998年東京都生まれの27歳。6歳からチェロを始め、スズキ・メソードで学びました。当初は演奏を楽しむことを大切にしていましたが、中学2年生の時に日本音楽コンクールを観客として聴きに行った経験や、東京交響楽団の「こども定期演奏会」でオーケストラと共演した経験から、プロのチェリストを目指す決意を固めました。
桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を首席で卒業後、特待生として桐朋学園大学音楽学部ソリスト・ディプロマ・コースで学び、2019年に修了。その後、ハンガリー国立リスト・フェレンツ音楽大学でミクローシュ・ペレーニ氏に師事し、現在はオーストリア国立ザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学でクレメンス・ハーゲン氏のもとで研鑽を積んでいます。
輝かしい受賞歴
水野さんは2020年の第89回日本音楽コンクールチェロ部門で第1位および岩谷賞(聴衆賞)、黒栁賞、徳永賞、全部門を通じて最も印象的な演奏に対し贈られる増沢賞を受賞するなど、数々のコンクールで優秀な成績を収めています。
主な受賞歴:
- 第89回日本音楽コンクール第1位および各賞(2020年)
- 第13回東京音楽コンクール弦楽部門第1位および聴衆賞(2015年)
- 第23回コンセール・マロニエ21弦楽器部門第1位(2018年)
- 第31回青山音楽賞新人賞(2021年)
幅広い演奏活動
ソリストとして東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、読売日本交響楽団、大阪交響楽団、京都市交響楽団など国内主要オーケストラと共演。パシフィック・ミュージック・フェスティバル札幌(PMF)、武生国際音楽祭、いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭などにも出演しています。
ピアニスト反田恭平氏率いるジャパン・ナショナル・オーケストラ(JNO)のコアメンバーとしても活躍し、ソロだけでなく室内楽やオーケストラなど幅広いフィールドで演奏活動を展開。「シャネル・ピグマリオン・デイズ2020/2021」の参加アーティストとしても選出されています。
2023年には、NOVA Recordより「水野優也×反田恭平 コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ&ショパン:チェロ・ソナタ」でCDデビュー。同年、オクタヴィア・レコードより高崎芸術劇場でのライヴを収録したCDもリリースしました。
音楽への姿勢と今後の展望
水野さんは留学経験を通して音楽に対する姿勢が変化したと語っています。「2、3年前までは『楽譜に書いてあることがすべて。演奏に自分の感情があってはいけない』という意識でした。しかし最近、『自分はこう弾きたい』という思いが伝わる演奏こそ、最も優先されるべきと考えるようになりました」と、演奏家としての成長を実感しています。
今後の目標については「自分の思いを演奏に乗せてお客さんに届けたいと思っています。そのために、シューマンなどドイツのロマン派の作曲家に重点的に取り組み、表現の幅を広げていきたい」と語っています。
プラハの春国際音楽コンクールについて
プラハの春国際音楽コンクールは、チェコの首都プラハで開催される権威あるコンクールで、1957年に国際音楽コンクール世界連盟に加盟しました。若手音楽家の登竜門として知られ、毎年異なる部門で開催されるのが特徴です。2025年はオーボエ部門とチェロ部門が開催されています。
参加できるのは30歳までの若手音楽家で、コンクール自体は5月6日から14日まで行われます。水野さん出場のチェロ部門の最終審査は5月14日に開催され、結果発表は同日の23時30分頃の予定です。
審査員はラファエル・ウォルフィッシュ(英国、審査委員長)、マリア・クリーゲル(ドイツ)、マルク・コッペイ(フランス)、ナタリー・クライン(英国)、ミハル・カニュカ(チェコ)、トマーシュ・ヤムニーク(チェコ)、リュドヴィート・カンタ(スロバキア)の7名で構成されています。
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