【速報】ショパン国際ピアノコンクール2025――3次予選が終了、11名が決勝へ。新ルールの本選は《幻想ポロネーズ》+協奏曲

ワルシャワ発。 第19回ショパン国際ピアノコンクール(2–23日)は3次予選が終了し、通常10名のところ同点により11名が決勝進出となりました。決勝は10月18〜20日(各日18:00 CEST)にワルシャワ・フィルハーモニーの大ホールで行われ、20日深夜に結果が発表される見込みです。
今大会の本選は新ルール――《幻想ポロネーズ 変イ長調 作品61》を全員必奏とし、これにピアノ協奏曲第1番ホ短調 作品11または第2番ヘ短調 作品21のいずれかを組み合わせる二部構成。オーケストラはワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団、指揮はアンドレイ・ボレイコです。


決勝進出者(アルファベット順・国籍)

Piotr Alexewicz(ポーランド)

Kevin Chen(カナダ)

David Khrikuli(ジョージア)

Shiori Kuwahara(日本/桑原志織)

Tianyou Li(中国)

Eric Lu(米国)

Tianyao Lyu(中国)

Vincent Ong(マレーシア)

Miyu Shindo(日本/進藤実優)

Zitong Wang(中国)

William Yang(米国)


本選プログラムの選曲(協奏曲)

本選は《幻想ポロネーズ》が必須。加える協奏曲の選択は以下のとおりです(事前提出された選曲に基づく)。

協奏曲第2番 ヘ短調 Op.21 を選択
 Alexewicz/Khrikuli/Lu/Yang

協奏曲第1番 ホ短調 Op.11 を選択
 Chen/Kuwahara/Tianyou Li/Tianyao Lyu/Ong/Shindo/Wang

※レギュレーション上、提出後のレパートリー変更は原則不可。今大会は本選で《幻想ポロネーズ》が追加課題となっています。


ファイナリスト詳報(プロフィール+見どころ)

Piotr Alexewicz(2000年生/ポーランド)

学び:パヴェウ・ザヴァツキ、コンスタンチン・シェルバコフほか。
受賞歴:2025年ヒルトン・ヘッド国際ピアノコンクール準優勝、ポーランド国内ショパン・コンクール2度の優勝など。
録音・活動:NIFC(ショパン研究所)から2枚のアルバム。ベルリン・フィルほか主要ホールで演奏。
本選:協奏曲第2番+《幻想ポロネーズ》。

Kevin Chen(2005年生/カナダ)

学び:アリー・ヴァルディ(ハノーファー音大)。
受賞歴:2023年ルービンシュタイン国際、2022年ジュネーヴ国際で優勝。
活動:カーネギー、ラ・ロック・ダンテロン、ワルシャワなど。
本選:協奏曲第1番+《幻想ポロネーズ》。

David Khrikuli(2001年生/ジョージア)

学び:スタニスラフ・ユーデニチ(マドリード・ソフィア王妃音楽学校)。
受賞歴:2024年カントゥ国際、ビーゴ国際で優勝。
活動:グルジア・フィル、イスラエル・カメラータ、モスクワ・フィルなど共演。
本選:協奏曲第2番+《幻想ポロネーズ》。

Shiori Kuwahara/桑原志織(1995年生/日本)

学び:東京藝大、ベルリン芸大(クラウス・ヘルヴィヒ)。
受賞歴:2025年エリザベート王妃国際の入賞者。ブゾーニ準優勝ほか主要国際コンクール入賞多数。
活動:ドゥシニキ、プラハ・ルドルフィヌム、イスラエル、欧州各地で演奏。
本選:協奏曲第1番+《幻想ポロネーズ》。

Tianyou Li(2004年生/中国)

学び:天津音楽院(Wang Xiaohan)。
受賞歴:シンガポール国際(第1位&バッハ賞)、珠海モーツァルト国際(第1位)ほか。
活動:NCPA(北京)、天津ジュリアード等の主要ホール、独シンフォニーオーケストラとも共演。
本選:協奏曲第1番+《幻想ポロネーズ》。

Eric Lu(1997年生/米国)

学び:カーティス音楽院。
受賞歴:2018年リーズ国際優勝。
活動:ボストン響、ロンドン響、シカゴ響、東京交響楽団、ワルシャワ・フィルなどと共演。ワーナー・クラシックスからリリース。
本選:協奏曲第2番+《幻想ポロネーズ》。

Tianyao Lyu(2008年生/中国)

学び:ポズナン音楽院(K.ポポワ=ジドロン)、北京中央音楽院附中出身。
受賞歴:エットリンゲン国際(2024)&シャファルニア・ショパン(第31回)優勝。
活動:ザルツブルク室内独奏団、寧波響との共演。
本選:協奏曲第1番+《幻想ポロネーズ》。

Vincent Ong(2001年生/マレーシア)

学び:ハンス・アイスラー音大(エルダル・ネボルシン)。
受賞歴:2024年ロベルト・シューマン国際優勝。
活動:各財団の奨学金を獲得し欧州を中心に演奏。
本選:協奏曲第1番+《幻想ポロネーズ》。

Miyu Shindo/進藤実優(2002年生/日本)

学び:モスクワ音楽院付属中央音楽学校(V.ピアセツキー)、ハノーファー音大(アリー・ヴァルディ)。
受賞歴:ビーゴ国際優勝、アジア国際ショパン優勝、ジュネーヴ/ショパン2021は準決勝進出など。
活動:読売日響、名古屋フィル、神奈川フィル、新日本フィル等と共演。
本選:協奏曲第1番+《幻想ポロネーズ》。

Zitong Wang(1999年生/中国)

学び:ニューイングランド音楽院(ダン・タイ・ソン)。
受賞歴:フェロール国際(2022)優勝、ブゾーニ(2023)第6位。
活動:フィラデルフィア管、クリーブランド管などと共演。
本選:協奏曲第1番+《幻想ポロネーズ》。

William Yang(2001年生/米国)

学び:カーティスを経て、現在はジュリアードでロバート・マクドナルドに師事。
受賞歴:2025年全米ショパン・コンクール(マイアミ)優勝(マズルカ賞・ソナタ賞も獲得)。
活動:ミネソタ管、フォートワース響などと共演。
本選:協奏曲第2番+《幻想ポロネーズ》。


今年の“熱量”と視聴ガイド

チケットは早期完売。そのため公式サイト/YouTube/TVP Kultura/Polish Radio等で4K配信が行われ、国際的な同時視聴でも記録的な数値を残すショパン・コンクールは、世界で最も注目される音楽コンクールとしての存在感をさらに拡大しています。

観客層の国際化が一層進み、特にアジアからの注目度が高いのも今大会の特徴。現地は“Chopin-mania(ショパン熱)”とも呼ぶべき盛り上がりで、関連イベントも数多く開催。

受賞発表は10月20日(CEST)の最終審議後。賞金総額は24万ユーロ超、優勝賞金は6万ユーロです。

3次予選はソナタ(Op.35またはOp.58)とマズルカ全曲集など、長大で高度なプログラムが課されました。本選ではソロの《幻想ポロネーズ》と協奏曲で、初期(協奏曲)と晩年(幻想ポロネーズ)という両極のショパン像をどう統合するかが最大の見どころです。


基本情報(まとめ)

会期:本選 10/18–20(各日18:00 CEST)

会場:ワルシャワ・フィルハーモニー 大ホール

管弦楽:ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団/指揮:アンドレイ・ボレイコ

必奏:《幻想ポロネーズ》Op.61 + 協奏曲第1番または第2番

結果発表:10/20(CEST深夜)予定



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