東京音楽大学名誉教授で、日本の吹奏楽界を代表する指揮者の汐澤安彦氏が、2025年1月7日、東京都内の病院で肺炎のため逝去した。86歳だった。
1938年、新潟県上越市生まれの汐澤氏は、東京芸術大学音楽学部器楽科を卒業後、トロンボーン奏者として音楽キャリアをスタートさせた。読売日本交響楽団で8年間演奏活動を行う傍ら、桐朋学園大学で齋藤秀雄氏のもと指揮法を学び、1973年には民音コンクール(現・東京国際指揮者コンクール)指揮部門で最高位の第2位を獲得。これを機に指揮者としての道を本格的に歩み始めた。
1975年にはベルリンに渡り、ベルリン芸術大学とカラヤンアカデミーで研鑽を積んだ。帰国後は、東京佼成ウインドオーケストラ、二期会合唱団、東京吹奏楽団の常任指揮者を歴任。特に吹奏楽の分野では、プロフェッショナルからアマチュアまで幅広い団体の指導にあたり、日本の吹奏楽界の発展に大きく貢献した。
教育者としても熱心で、東京音楽大学教授として後進の育成に尽力。上智大学管弦楽団では実に60年にわたって指導を続け、多くの音楽家を育てた。その功績が認められ、1999年には日本吹奏楽学会第9回日本吹奏楽アカデミー賞(演奏部門)を受賞している。
通夜は1月17日、葬儀・告別式は1月18日に東京都府中市の日華斎場思親殿で執り行われる。喪主は妻の飯吉陽子さん。
汐澤氏は生涯を通じて、オーケストラ、吹奏楽、オペラ、合唱と、幅広いジャンルで日本の音楽界に多大な貢献を果たした。その温厚な人柄と情熱的な指導は、多くの音楽家や愛好家に深い感銘を与え続けている。
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